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2025.12.28

<小野ふとん店のチャレンジ>木糸の布を奄美大島の泥染めで染めてみた

<小野ふとん店のチャレンジ>木糸の布を奄美大島の泥染めで染めてみた

小野ふとん店の経営理念は「ワクワクの輪を広げよう」。世界中にアンテナを張って、使って楽しいものや気持ちのいいものを見つけてご紹介することを心がけています。買い付けという形で商品を探してくることも多いのですが、見つけた素材や技法を組み合わせて新しい商品をつくり出すこともあります。そんな商品開発の試みとして、先日は奄美大島へと飛んだ小野社長。みなさんは、世界でも奄美大島でしか行われていない「泥染め」という染色を知っていますか?

挑戦へと掻き立てるワクワクする好奇心


奄美大島で行われている「泥染め」とは、奄美に自生するテーチ木(シャリンバイ)という植物と、奄美の鉄分豊富な泥を使って手作業で染める天然の染色方法です。大島紬の染色方法としてよく知られていますが、もちろん、絹織物以外の繊維でも染めることができます。小野社長がそんな泥染めと出会ったのは偶然の出会いからだったそう。

「ある時、岡崎で鯉のぼりを作っている職人さんと、イタリアのミラノサローネで受賞歴を持つデザイナーさんとがコラボ企画の相談をしている場にたまたま居合わせたことがあり、そこで『今度、奄美大島に泥染めに行くけど一緒にどう?』と軽く誘われたことがきっかけでした。日頃からいろんなことに好奇心を持っていると、ふとした時に、小さな偶然が一気に繋がるミラクルな瞬間が訪れることがあります。それはこれまでの経験から感じていたことで、チャンスに出会ったら迷わず飛び込むことにしています。泥染めには以前から興味があったので、これは行くしかないなと」。

 

岡崎の間伐材から作る布で商品化に挑戦

実はその1年ほど前、森の保全に取り組む知人が間伐材で木の布を作っていることを知り、この布で小野ふとん店のオリジナル商品ができないか考えてみたことがあったそうです。「木糸(もくいと)の布」と呼ばれるこの繊維は、森で伐採された木を糸に加工して織られた布で、輸入に頼らず国内で生産される新しい天然素材として注目されているもの。ちなみに大阪・関西万博のスタッフユニフォームにも採用されたことでも話題になりました。

「いずれはすべての都道府県の間伐材でそれぞれの県名が付いた布を作りたいと聞いて、愛知県の布にはぜひ岡崎市の間伐材を使おう!と思ったんです。こちらもまだ試行錯誤の途中で商品化にはいたっていませんが、奄美に誘われた時、泥染めと繋げたら面白いものができるのでは、とひらめいて、ぜひこの木糸の布を自分の手で染めてみたいと思いました」。

 

泥染め初体験そこで生まれたもの

奄美では、染色作家さんのもとで初めての泥染めを体験。ちょっとした水たまりのような地面を自分で掘り起こし、そこに布をジャブジャブ浸けるのはかなりの重労働だったそう。この作業を繰り返し、完成したのが4色のケット。木糸100%だと手触りが少し硬くなるため、綿との混紡に。適度なシャリ感が残り、草木染めならではのやさしい色あいと合わせて、さらさらとした使い心地の良い仕上がりになりました。

「結構、評判良いんですよ。次は深い黒に染まる藍泥にも挑戦してみたいですね。ただ問題は、染料がとにかく高価で、高価な商品になってしまうこと。しかも草木染めは退色しやすいという問題もあるので、何かしら工夫をしないといけないでしょうね。奄美大島でしか作れないというところが大きな価値ですし、岡崎市の間伐材で木糸の布ができたら、いろいろな課題をクリアして商品化を実現したいです」。

難題に向き合いながら目指す小野ふとん店のこれから

気になることがあればできる限り現地に足を運び、目で見て、体で感じて確かめたい。それが小野ふとん店の挑戦マインドの源と話す小野社長。泥染めもそんなワクワクする出会いに背中を押されて始まったチャレンジでした。

「個人店がオリジナルの商品づくりに挑むというのは簡単ではないですが、自分で実際に動いてチャレンジしたからこそ学ぶことも多いです。こうした挑戦はまだほんの4~5年前から始まったばかり。今はまだ、小野ふとん店の挑戦というより、小野元幹の遊びの域を越えていないかもしれませんが(笑)、今後は環境問題や地域振興にも貢献できるような商品開発にも力を入れていきたいです」。

現在は、泥染めと並行して岡崎市の地域資源である「石」を使ったプロダクト商品の企画も進行中とのこと。自信を持ってお届けできる、小野ふとん店だけにしかないオリジナル商品の開発を目指してこれからも楽しい挑戦は続きます。