STORY

2023.08.18

本気で恋する 靴下を求めて!

本気で恋する 靴下を求めて!

創喜の靴下工場を見学しました。

産地の歴史、素材のこと、製造工程、作り手の思い…
実際に工場を訪ねると、気になることや知りたいことは尽きません。
毎日使う身近な靴下ですが、作られる現場を見るのは初めて。
目にするものすべて興味津々!

靴下生産量、全国一!

国内産の靴下の約6割を生産する奈良県。

工場の多くがここ広陵町に集まっています。古くから水不足に悩まされてきた奈良盆地では、江戸時代に米や野菜の代わりに綿の栽培が盛んになり、織物産地として発展。明治に入って、地元の木綿問屋・吉井泰次郎がアメリカから靴下の編み機を持ち帰って農家の娘たちに靴下づくりを教え広めたことをきっかけに、靴下の一大産地へと成長しました。

創喜は1927年創業。

5代目社長・出張耕平さんの曽祖父が、農業のかたわら冬場の収入源にと靴下製造を手がけたのが「創喜」の始まり。お祖父さんの代から本業に。高度経済成長期までは地場産業として大いに栄えましたが、時代の移り変わりの中で工場の数は年々減少。

昭和30年代に建てられた創喜の工場は、そのシンボルである「のこぎり屋根」とともに、いまや地元でも貴重な存在です。

ローゲージにこだわる理由が見えてきました。

のこぎり屋根から差し込む柔らかな光の下で、使い込まれた機械たちの糸を編む軽快な音が響く「創喜」の工場。「靴下ってこんなふうに繋がって編まれていくんですね」と驚く小野に、「長い筒状になって出てきたものを一足ずつ切り離すんですよ」と、手に取りながら丁寧に説明してくださる出張社長。

そもそも靴下は、編み目の大きさによってハイ、ミドル、ローゲージの3つに分類されますが、出張さんによれば、昔ながらの靴下は厚手でざっくりとしたローゲージが主流だったのだそう。しかし、今では細い糸でも安く作れる機械や高速の編み機が普及。効率の低いローゲージのものは徐々に少なくなっていきました。

「機械が使われないと技術までなくなってしまいます。古い機械とともに長年培ってきた技を守り続けているからこそ、ローゲージならではの良さを伝えられるんです」と出張さん。

創喜の機械たちが編むスピードは、最新のものよりも時間がかかります。ゆっくり編むことのメリットは、糸にストレスがかかりにくく、ふっくらとやわらかい風合いに仕上がること。肌触りの良さをより実感でき、空気をたっぷり含むので保温効果も。しかも通気性と吸水性に優れ、何より丈夫とまさに良いことづくめ。「靴下はあくまで肌着。ローゲージにはそこに求められる機能のすべてが備わっています」。そう話す出張さんの言葉に、産地を支えてきた技術と歴史ある工場を守る使命感がふつふつと。

工場の見学を終えて、「僕らはつくる人たちのこだわりや情熱に共感してものを選び、作り手の思いまでをお客様に向けて誠実に伝えていかなければいけないんだなと感じますね」と小野。靴下づくりに賭ける熱い思いをしっかりと受け取っていました。